費用・収益の見越し

正確な利益を計算するための処理

決算では会社の業績を明らかにしないといけませんが、そのためには会計期間中の収益と費用を正確に計上する必要があります。

当期に発生した収益の受け取りとかかった費用の支払いが当期に終わればそれで問題ないものの、受払いがズレるケースは珍しくありません。

たとえば、会計期間が1月1日から12月31日で、給料計算の対象期間が毎月21日~翌月20日まで、さらに支払日を25日だったとします。

見越し計上が必要な給料を把握するタイムテーブル

月々の支払い関しては問題ありませんが、決算直前の最後の支払い日は12月25日で、これは11月21日から12月20日までの給料です。

12月21日から12月31日までの間の給料は翌年1月25日に支払われますが、会計期間をまたいでしまいます。つまり、21日から31日までの給料は当期中に発生した費用となるわけです。

しかし、現実には支払いはまだ行われていませんので、当期の帳簿には21日から31日までの給料が記録されていません。この状態で損益計算書を作成した場合、11日分の費用がないわけですから正しい収益の計算ができなくなってしまいます。

ですから、給料を決算において調整する必要があり、この処理を見越しといいます。

見越しは給料だけに限らず、保険料や家賃の支払いなどにもあてはまる話です。また、費用だけでなく受取手数料などの収益にもあてはまります。

要するに、見越しには費用の見越しと収益の見越しがあるわけです。

費用の見越し計上

上記の給料の例のように、「費用は発生しているがお金を支払っていないため、決算で費用計上すること」が費用の見越しです。

先ほどは金額をあげなかったので、家賃を例に費用の見越し計上方法を解説しますね。

ここでは、会計期間は1月1日から12月31日とします。そして、4月1日から1年間、1ヶ月10,000円の家賃で建物を借りて翌年の3月末にまとめて後払いする設定にしておきます。

見越し計上が必要な家賃を把握するタイムテーブル

当期の4月1日から12月31日までの9ヶ月間の家賃が、発生しているけど支払っていない費用です。なので、決算整理では10,000(1ヶ月の家賃)×9=90,000円を見越し計上する必要があります。

このケースでは支払家賃という費用勘定を用いて処理をします。費用ですから、借方にもってくるのはわかりますよね。相手勘定科目には、まだ支払っていない家賃をあらわす未払家賃を使います。

   借方       貸方
支払家賃 90,000 未払家賃 90,000

この仕訳によって、当期に発生した費用(ここでは9ヶ月分の家賃)と来年払うべき家賃(未払家賃という負債)が計上されました。

収益の見越し計上

収益の見越しとは、「収益は発生しているがお金を受け取っていないため、決算で収益計上すること」です。考え方は費用の見越しと同じですから難しくありません。

先の例では1月あたり10,000円の家賃としましたが、仮にあれが受取手数料だったとしましょう。すると、9ヶ月分にあたる90,000円は当期にもらうべきお金ですから、収益として計上するわけです。

仕訳をする時は、受取手数料という収益勘定を貸方へ、未収手数料という資産勘定を借方にもっていきます。

   借方       貸方
未収手数料 90,000 受取手数料 90,000

これで当期の収益とまだ受け取っていない資産を計上できるわけです。

なお、見越しでは家賃や手数料の他に、地代や利息という勘定を使う問題もあるので、色々なパターンに対応できるようにしておきましょう。

また、見越し計上した費用や収益は翌期首には再振替仕訳をしないといけません。といっても難しく考える必要はなく、見越し時の逆仕訳をするだけです。

上記の受取手数料を再振替すると、以下のようになります。

   借方       貸方
受取手数料 90,000 未収手数料 90,000

試験では見越し計上された費用や収益を最初に再振替してから解く問題もあるので、忘れないように注意しておきましょう。

見越しはややこしい話も多いですが、避けては通れない部分なので理解できるまで何度も学習するのが大切です。繰延べとあわせてぜひともマスターするようにしましょう。