英米式決算法を用いた帳簿の締め切り方

帳簿の締め切り方は2つある

決算整理を終えれば試算表から貸借対照表と損益計算書の作成をしていきますが、厳密には決算整理の後に帳簿の締め切りをしないといけません。

試験では時間の都合もあるので全ての帳簿を締め切らなくてもいいですし、実務でも試算表からすぐに貸借対照表や損益計算書を作成するのは一般的です。

しかし、帳簿の締め切り方がわからないと困る問題もありますから、ここで解説していきます。

まず、帳簿の締め切りとは、仕訳帳や総勘定元帳にある当期の記入を整理して終わらせることです。帳簿を締め切らずにそのまま記入を続けると、当期と次期の取引や仕訳がごちゃごちゃになってしまうので、帳簿を締め切ることで記入しないようにします。

具体的な締め切り方には英米式決算法と大陸式決算法の2つありますが、一般的かつ、試験でも出題される英米式決算法について見ていきましょう。

なお、帳簿の締め切りは「収益・費用」と「資産・負債・純資産」では違います。

収益と費用の締め切り

収益や費用は資産や負債と違って次期に引き継ぎできません。なので、決算の時点で新しく損益勘定を作り、収益と費用の残高が0になるように振り替えます。

たとえば、受取手数料が以下のようにあったとします。

受取手数料勘定

損益勘定を作って締め切るのですが、受取手数料勘定の借方には何もありません。借方と貸方の金額を合わせる(ゼロにして振り替える)ためには、借方に10,000円の記入が必要です。

ですから、借方に受取手数料勘定がある以下の仕訳をします。

  借方       貸方
受取手数料 10,000 損益 10,000

損益勘定は締め切りのための特殊な勘定です。上記の仕訳を受取手数料勘定に転記すると、以下のようになります。

損益を転記した受取手数料勘定

これで借方と貸方の金額が一致したので、締め切りをあらわす二重線を引いて受取手数料勘定を締め切ります。

締め切った受取手数料勘定

収益である受取手数料がいきなり借方にくる理由がわからないかもしれませんが、これは借方と貸方を一緒にしたいからそうしただけです。

収益の増減として考えるのではなく、貸借の合計を合わせるために無理やりあのような仕訳をしています。実際に締め切るときも理屈で考えるのではなく、「合計をあわせるためにはどういう仕訳をすればいいか?」と考えるようにしましょう。

受取手数料勘定の締め切りはできましたが、損益勘定にはあらたに金額が記入されます。

受取手数料を転記した損益勘定

そこで、今度は損益勘定を振り替えるための仕訳が必要です。

  借方     貸方
損益 10,000 資本金 10,000

損益が借方にくる理由は、先ほどと同じく借方にもってこないと貸方と同じ金額にできないからです。

資本金勘定は損益勘定の締め切りに使われる勘定になります。損益勘定の残高=当期純利益なので、損益勘定の相手勘定科目として使うわけです。

結局のところ、損益勘定を締め切るための仕訳によって資本金(純資産)の増加が記録されます。仮に損失だった場合は、自然と損益勘定が貸方にきて資本金勘定が借方にくるわけです。

最終的な損益勘定は以下のようになります。

締め切った損益勘定

資本・負債・純資産の締め切り

資本・負債・純資産は残高を次期に引き継げます。ですから、締め切りの時はどこまでが次期に持ち越す分で、どこからが前期から持ち越した分かを記入するだけです。

仮に以下のような勘定があったとします。

現金勘定

貸方に20,000円足りないので、直接現金勘定に記入します。

次期繰越を記入した現金勘定

そして、次期繰越を記入した逆側に、同じ金額で前期繰越を記入すれば無事に締め切り完了です。締め切った現金勘定は以下のようになります。

前期繰越を記入して締め切った現金勘定

以上のような要領で他の勘定も順番に締め切っていき、全ての締め切りが完了したら最後に、繰越試算表という残高を集計した一覧を作成します。

繰越試算表

繰越試算表は貸借対照表と同じ意味で、会計理論ではこれをキレイにしたものが貸借対照表になります。なお、試算表という名前から合計試算表や残高試算表と同じように考えがちですが、別物なので勘違いに注意しましょう。

帳簿の締め切り方は以上です。

収益と費用の締め切りは一度で理解するのも難しいので、慣れてから改めて学習すると理解が深まります。